彼を知り己を知れば百戦殆うからず

雑記
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「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」

 

孫子の有名な言葉である。

誰でも戦うときに、よく知らない「相手」のことを詳細に調べるのは当たり前である。
この言葉の肝は、よく知っていると信じている「自分」のことをよく調べろ ということだと思う。

大学入試を受けるのであれば、入試問題(相手)を調べるのはもちろんであるが、
今の自分の学力、そして得意分野と苦手分野を冷静に見極める必要がある。
お金を貯めたいのであれば、現在自分がひと月にどの分野にどれだけのお金を使っているか、
記録して、把握することがまず第一歩である。
転職するとなったら、自分がどんな所に転職して何をしたいのか、また自分は今、何に不満を持っているのかをきちんと洗い出すことが先決である。
ある悩みを解消しようと思ったら、自分が何に悩んでいて、どうしたいかを冷静に判断する必要がある。

何を行うにしても自己分析が重要である。

こうやって書いてくると全ての行動は「自分を知ること」が第一歩であるかのように思えてくる。「自分を知ること」が統一原理のように思えてくる。

人は いろいろなことを少ないルール、原則(可能であれば一つ)で説明する ことを好むようである。

科学はその傾向が顕著であるように思える。

惑星の運動もリンゴの落ちる動作も一つの同じ式で説明しようとしたり。
アインシュタインの目指した量子論と相対性理論の統合。
幾何学が全ての定理をできる限り少ない公理から出発して、全て導き出そうとしたり。

また科学の分野でも、

世界を全て水で説明しようとしたり。
世界を論理だと言ってみたり。
ひとつ単語を複数の意味をひとつのイメージから全て説明しようとしてみたり。
ビジネスに関する事柄はすべて PDCA でやればうまくいくと言ってみたり。
世の中の全ての出来事は歴史で繰り返されたことばかりだと言ってみたり。

人は世界の事柄は全て少ないルールから導き出せると信じていて、そのルールを探し出すことに必死なようである。複雑は悪、単純(シンプル)は善。
きっと「複雑」は対象として扱うのが困難であるため、人は無意識のうちに「単純」を求めてしまうのであろうか。

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